（2002.04.26　更新）

■安曇野電気鉄道　会社概要

安曇野電気鉄道（Azumino Electric Railroad Co.ltd ; AER）　本社所在地：長野県穂高市 　 １．営業区間 　 １）安曇野本線　　 13.5Km　　 穂高〜明科〜会田〜中屋敷 ２）穂高線 13.0Km 穂高〜宮城〜中房温泉 ３）保福寺線 9.5Km 会田〜保福寺天王 ４）貨物線 4.7km 宮城〜松川（通称　松川線） ５）工事線 27.5Km 中屋敷〜上田原（上田交通・別所線） 　　全路線合計 68.2Km （営業キロ40.7km） ２．系譜・開通年 穂高軽便鉄道　　 　大正９年 （1920） 設立 穂高軽便鉄道設立。事業免許申請・認可 　大正11年 （1922） 開通 穂高〜穂高温泉・開通。ゲージは762mm、蒸気運転 　昭和２年　　 （1927） 開通 穂高温泉〜中房温泉・延伸開通 　昭和14年 （1939） 吸収 安曇野電気鉄道に買収される 安曇野電気鉄道　 　昭和４年 （1929） 設立 安曇野電気鉄道設立。事業免許申請・認可 　昭和５年 （1930） 開通 安曇野本線・穂高〜明科　直流650V電化　（車輛）デキ1型新製 　昭和12年 （1937） 延伸開通 安曇野本線・明科〜会田　安曇野本線全通 　昭和14年 （1939） 買収 穂高軽便鉄道を買収　旧穂高軽便鉄道区間（穂高〜中房温泉）を穂高線と改称（ただしゲージはそのまま762mm） 　昭和16年 （1941） 開通 保福寺線・会田〜保福寺天王 　昭和19年 （1944） 休止 戦況悪化により穂高線を営業休止。レール撤去、政府に供出 　昭和24年 （1949） 穂高線・復活工事開始（ゲージ変更及び電化工事の同時竣工） 　昭和25年 （1950） 復活 穂高線・穂高〜穂高温泉・改軌電化工事完成 モハ51型（旧銚子電鉄デハ501）、モハ61型（旧熊本電鉄モハ101）譲渡 　昭和29年 （1954） 改良 穂高温泉〜中房温泉・改軌電化延伸工事完成 　昭和39年 （1964） 会田〜上田原　事業免許申請・認可 　昭和40年 （1965） 会田〜上田原　工事開始 　昭和41年 （1966） 延伸開通 安曇野本線・会田〜中屋敷　延伸開通 　昭和43年 （1968） 昇圧 直流650V→1500Vに昇圧化　国鉄電車季節乗り入れ開始 　 ３．経緯　 ●穂高軽便鉄道 　大正9年、地元財界、名士等による鉄道敷設委員会が発足し、穂高軽便鉄道を設立。安曇野地方の交通整備および穂高温泉方面への旅客輸送を目的として事業免許を申請。大正11年、穂高〜穂高温泉間を762mmゲージ、蒸気運転により開業する。当時の運転規模は旅客10往復、貨物２往復であった。 　昭和２年、中房川上流の木材資源に着目すると同時に、武田信玄ゆかりの隠れ湯として歴史に埋もれていた中房温泉への旅客誘致を目的に穂高温泉〜中房温泉間を延伸開業。この時点で運転規模は開業当初の２倍となった。特に中房川上流の木材は上質なため貨物輸送は５往復となった。昭和14年、安曇野地方の交通機関の整理統合を図る必要から安曇野電鉄と対等な合併が行われ、安曇野電鉄穂高線として存続することとなった。しかしながら、安曇野本線とは軌間や線路規格が異なることから独立した運行体系が昭和18年の営業休止措置まで続けられ、本来の意味での直通化は昭和25年の改軌・改良工事の部分完成まで待たねばならなかった。　 ●安曇野電気鉄道 １）会社創設期〜戦前・戦中期 　安曇野電気鉄道は、大糸南線・穂高駅と篠ノ井線・明科駅を短絡し、東筑摩郡四賀村方面の旅客輸送を目的として1929年（昭和4年）に設立された。当時の地方鉄道としては珍しい電気方式による免許申請であった。軌間1067mmゲージ、直流650Vを選択し、1930年（昭和5年）に明科〜穂高間を開通させた。開通当初の車両はモハ１型５両、デキ1型電気機関車２両および数両の貨車であった。 　1937年（昭和12年）、所期の目的である会田まで延伸。1939年（昭和14年）、安曇野地方の交通網統合を画策していた安曇野電鉄は営業地域および経営規模がほぼ同等である穂高軽便鉄道との合併を決定した。既存の穂高軽便鉄道の路線は穂高線として線路および運行形態はそのまま継承すると同時に、穂高軽便鉄道を解散し、同社役員を経営陣の一部に迎え入れた。1941年（昭和16年）、悲願であった保福寺天王までの路線が開通。安曇野電鉄としての営業距離は36Kmとなり戦前において最長となる。しかしながら太平洋戦争の拡大とその後の相次ぐ日本軍の敗退により戦局が不利となり、1943年（昭和18年）、独立部門であった穂高線を営業停止、資材供出する。この営業停止は昭和25年まで続く。 ２）戦後復興期 　やがて終戦を迎えて安曇野電鉄は復興に向けての微動を開始した。空襲による直接被害は受けなかったものの、電力統制や物資の極度の不足などにより列車の運行は困難をきわめたが、それでも平時の５割ほどの運転量を確保できたのは、復員してきた社員が一丸となってこれらの困難に立ち向かったからであり、こうした精神は現在においても語りぐさになっている。終戦後、荒廃した施設等の整備を進め、昭和23年には穂高線を改軌・電化により営業復活を決定する。穂高駅構内の直通化改良工事を開始、穂高〜穂高温泉間が昭和25年に部分開業。同29年に中房温泉まで延伸し、穂高線は全線復活を遂げた。この工事の完成により安曇野電鉄はふたたび戦前と同じ営業キロに戻った。昭和30年になると戦後の混乱もようやく収まり、線内に急行運転を開始。停車駅は中房温泉、穂高温泉、有明、穂高、明科、会田であった。 　戦後の復興ならびに朝鮮戦争の特需に伴う高度経済成長によって旅客、貨物輸送量は順調に増加していった。しかしながら旧態然とした会社組織や設備の陳旧化がネックとなり、これ以上の列車走行キロの増加は線路容量の観点からも限界点を迎えていた。安曇野電鉄は輸送力増強５カ年計画として、会社組織の効率化を図り、現業部門では一部複線化、信号自動化のための調査、ダイヤの見直しを行った。そのなか、昭和34年、等々力〜元穂高間で列車正面衝突事故が発生し、死者8名、重軽傷者28名、車輌大破2両、車輌横転2両、事故廃車３両という事故を起こした（等々力事故）。事態を重く見た運輸省ならびに社内には事故調査委員会が設置され、過密なダイヤ、信号整備の遅れが事故の原因とされた。この事故を契機に列車保安設備（ATS）ならびに信号保安設備の刷新を行った。 ３）高度経済成長期 　昭和30年代後半から始まった高度経済成長は国民の総中流階級意識をもたらし、リゾートあるいは余暇への意識を急速に目ざませることとなった。その結果、松本市から軽井沢等への高級リゾート地に対するニーズが高まり、安曇野電鉄経営陣は観光路線として軽井沢方面への路線延長を決定した。計画案は保福寺延長案やその他の候補が提案され、測量調査の結果、途中駅である会田から新線を分岐させ、急峻な青木峠を国道134号線とほぼ並行に20〜30パーミルの連続勾配で登り、青木隧道（総延長11800メートル）の長大トンネルにより峠を横断し、上田交通別所線・上田原駅に接続する約30キロメートルあまりの路線とし、上田交通ならびに国鉄信越線との相互乗り入れを計画していた。 　この計画とならんで当時国鉄をはじめとする各民鉄において研究が進められていたまったく新しい観点の新性能電車（M-M'、カルダンドライブ、モノコック軽量構造）の開発が流行の兆しを見せ、安曇野電鉄においてもそれらの採用するには、架線電圧の上昇とともに勾配専用電車が必須であるという結論に至った。そして昭和39年、計画は細かな変更点が加えられ、本格的な着工を迎えた。当初予定されていた20〜30パーミルの勾配は、トンネル掘削費用の圧迫が懸念されることから35パーミルの連続勾配に変更され、そのぶんトンネル総延長は9000メートルに短縮された。工事区間の総延長は27.5Kmであり、昭和41年、竣工した会田〜中屋敷を先行開業した。現在の進捗率は馬船までの線路敷設が終わり、青木隧道は掘削中であることから全体の45％である。 　昭和43年、電化方式を直流650Vから直流1500Vに昇圧。同時に国鉄電車の季節乗り入れを開始した。 ４．運行体系・列車走行キロ 　１）安曇野本線　穂高〜明科〜会田〜中屋敷　　　　　　13.5Km 　２）穂高線　　　穂高〜中房温泉　　　　　　　　　　　13.0Km 　３）保福寺線　　会田〜保福寺天王　　　　　　　　　　9.5Km 　４）貨物線　　　宮城〜松川　　　　　　　　　　　　　4.7km 　５）工事線　　　中屋敷〜上田原（上田交通別所線）　　27.5Km 　 １）旅客輸送 （１）平日ダイヤ 　●朝夕ラッシュ時：最大３両編成にて運行 　　　中房温泉〜穂高〜中屋敷：10〜15分間隔にて運行（一部区間運転あり） 　　　穂高〜保福寺天王（直通）：30分間隔 　　　会田〜保福寺天王：15〜30分間隔 　●昼間時：２両編成もしくは単行運転 　　　中房温泉〜穂高〜中屋敷：20〜30分間隔にて運行（一部区間運転あり） 　　　会田〜保福寺天王：30分間隔 　●急行運転（料金不要）：中房温泉〜穂高〜中屋敷 　　　9：00〜18：00（毎時１本運転）　おもにクロスシート車で運行 　●特急運転（特別料金・専用ロマンスカーにて運行）：中房温泉〜穂高〜会田〜保福寺天王 　　　土日祝日運転（１日２〜３本、不定期運用あり）　おもに元長野電鉄2000系で運行 （２）休日ダイヤ 　●中房温泉〜穂高〜中屋敷：全線20〜45分間隔 　●急行運転（料金不要）：中房温泉〜穂高〜中屋敷 　　　9：00〜18：00（毎時１本運転）　おもに元東急5000系で運行 　●特急運転（特別料金・専用ロマンスカーにて運行）：中房温泉〜穂高〜会田〜保福寺天王 　　　土日祝日運転（１日２〜３本、不定期運用あり） 　●参拝輸送（不定期：穂高〜保福寺天王） ２）貨物輸送ならびに主たる輸送品目 　●中房川上流森林資源（チキ車）：中房温泉〜明科（国鉄篠ノ井線連絡） 　●等々力地区わさび（安曇野地方特産品）：等々力〜明科（国鉄篠ノ井線連絡） 　●安曇野地方生活物資輸送（電車列車との併結運用もあり）：全線運転 　●石油輸送（タキ車による専用列車・電機重連使用）：松川〜明科（国鉄篠ノ井線連絡） 　●石灰石輸送（タキ・ホキ車による専用列車・電機重連使用）松川〜明科（国鉄篠ノ井線連絡） 　●アルコール輸送（各種タンク車）：安曇野醸造所への醸造用アルコールの輸送や製品出荷の輸送 　 ５．その他（沿線風物詩） 　●道祖神祭り　４月中旬 　●蛍祭り　７月中旬 　●高原音楽祭（Azumino Jazz Festival） 　　　８月中旬に高原音楽堂で２日間にわたって行われるジャズ・イベント　 　●収穫祭　10月初旬 　●安曇野雪祭り　１月中旬 　 ６．停車場一覧 　停車場の一覧を下記に掲げる。

■停車場一覧

●：停車場　・：交換設備　無印：停留所

■安曇野電鉄今後の展開予定

レイアウトの製作

●宮城駅セクション：分岐駅を再現予定

●中房温泉駅セクション：終着駅を再現予定

●高原音楽堂駅セクション：中間の停留所を再現予定

●等々力車庫セクション：木造２線式の車庫を製作予定

車輛の製作

●ED22電気機関車

ホームページへ戻る	国鉄形機関車のページ	国鉄形電車のページ	国鉄形気動車のページ	国鉄形客車のページ	国鉄形貨車のページ
私鉄形車両カタログ	安曇野電気鉄道	安曇野電鉄車輛カタログ	鉄道模型工作室	投稿コーナー	実物資料のページ